停電しても電気事故が継続している場合
電気事故によって停電しても、樹木接触・断線等で事故が継続中の場合どうなるのかを説明します。
ここで開閉器のある意味がご理解いただけます!
事故により線路が停電した時の配電線1回線の図です。
ケース1では上の図のようになり、停電した事によって短絡事故が解消され元に戻った場合を説明しました。今回は、上図
の短絡地点で3相とも電線が断線して3相短絡となっているとします。するとどうなるのでしょうか?
ここでもう一度、先に説明した配電線路に設置された開閉器・制御装置・PTの関係および動きを説明します。
@PTからの電圧がなくなる(配電線が停電する)と切指令
APTからの電圧が回復し(配電線が充電する)一定時間経過後に入指令
BAの後に一定時間以内にPTからの電圧がなくなる(配電線が停電する)と再度PTからの電圧が回復しても入指令は出さない
CAの後に一定時間以上経過してPTからの電圧がなくなって(配電線が停電する)も再度PTからの電圧が回復すれば入指令
この事を再度確認いただいて、停電以後の動きを紹介していきます。
まず再閉路継電器(79)により遮断器投入指令が出されます。
変電所での遮断器が79により投入され第1区間が送りだされます。そして開閉器@はX時間をカウントし、79は再び停電する
までをカウントしていきます。
ここはケース1で説明した通りの動きをします。事故区間が第4区間(開閉器BとCの間)のためそこまでの復旧は同じ動きをし
ます。
ここまではケース1と同じですが、いよいよ次の区間が事故継続中です。どうなるのでしょう?
ここでまず開閉器用制御装置・変電所再閉路継電器(79)が今どういう動きをしているかまとめておきます。
変電所再閉路継電器(79)・・・再び変電所の遮断器が開放されるまでをカウントしています。何秒で開放したかを知る事により事
事故区間を判別します。
開閉器@・・・Y時間計測が終了し第2区間は事故が継続していない事がわかり、次の事故に備えて通常時の運転状態となります。
開閉器A・・・開閉器を投入し、次の区間の事故があるかどうかを判断するためにY時間を計測しています。
開閉器B・・・PTより電圧が入力され、X時間の計測が始まります。
各制御装置は以上のような動きをしています。そして開閉器BのX時間が終了し、このあと開閉器Bが投入されます。
開閉器Bが投入されると、電線が短絡継続中である事からもう一度短絡電流が流れ、変電所の51が動作→遮断器に開放
指令を出します。この時の状態は上図の通りです。
短絡電流により、変電所の遮断器が開放されもう一度配電線路が停電します。
この時の開閉器用制御装置・変電所再閉路継電器(79)がどういう動きをしているかまとめておきます。
変電所再閉路継電器(79)・・・X時間3回分(開閉器@AB分)計測後に遮断器が開放されたので第4区間の事故だと判別します。
開閉器@・・・通常運転中であるため、電圧がなくなって開閉器を開放する。
開閉器A・・・通常運転中であるため、電圧がなくなって開閉器を開放する。
開閉器B・・・Y時間計測中に線路が停電したため、自分の次の区間に事故が継続している事がわかります。したがって次回自分の
前まで充電してきても開閉器を再投入しないように装置をロックします。
こうなった後に変電所では79により遮断器を再び投入し配電線路に電気を送り出していきます。
@A開閉器は通常の動きをし、第3区間まで順次送電していきます。
開閉器BはさきほどY時間中に停電したためにロックされているので、第3区間が充電されても開閉器Bは投入しません。
これで事故継続中の線路でも第3区間まで送電できるようになります。つまり停電範囲を小さくし一般の方への影響を小さく
できるのです。これを「部分配電」といいます。
これで一旦自動的な復旧は落ち着きます。あとは電力会社の方が事故区間と停電範囲を確認し、事故箇所を断定・復旧して
いきます。修理完了後にもう一度その区間を送電し完全復旧となります。
ここまでで、開閉器の設置してある意味がよくわかると思います。つまり
@事故継続中に停電範囲を小さくできる。
A事故の場所がある程度絞れる。
※遮断器しか設置されていなければ、事故遮断した場合長い配電線路のすべてを点検しなくてはいけなくなります。
という事です。ところで、第3区間までは送電し、第4区間以降は停電していますが第5、6区間は電気的に健全です。それでも、
第4区間の修理が完了するまでの間停電したままなのでしょうか?実はさらに続きがあり更に停電範囲を小さくする事ができる
のです。
この続きを更に説明します!
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