電圧調整について



    電力系統を運転してゆくなかで電圧の調整は欠かせないものです。
    ここでは、電圧調整の方法を説明する前の電圧変化の計算方法を学びたいと思います。


  モデル系統



  上記のような系統において、力率cosθの負荷Pへ電気を供給しているとします。送電端電圧をVs、受電端電圧をVr,送電線の
  抵抗・リアクタンスをそれぞれr・xとし送電線に流れる電流をTとします。この回路において送電端・受電端の電圧の関係を次の
  ようにベクトル図で表します。




  書き方と考え方を紹介します。まず@受電端電圧を基準で書きます。続いてA流れる電流を書きます。この場合負荷力率cosθで
  あるため、θ遅れたところへ書きます。受電端電圧に抵抗での電圧降下・リアクタンスでの電圧降下を加えたものが送電端電圧に
  なります。まず抵抗での電圧降下ですが、これは抵抗に電流が流れて発生する電圧であるため、線路電流と同相になります。つま
  りBrTと描かれます。続いてリアクタンスでの電圧降下ですが、これは電流より90°進むためCxTとなります。
  それらを足し合わせたものがすなわち送電端電圧DVsです。簡単ですね!!

   それでは以上のベクトル図から計算式で表現したいと思います。複素数で・・・

       Vs=Vr+(rTcosθ+xTsinθ)+j(xTcosθ−rTsinθ)

   となり更に、虚数部は小さいため無視しVrを左辺へ移動させると

       Vs−Vr=rTcosθ+xTsinθ

   であり、またVs−Vrは電圧降下であるためΔVと置き換えます。また右辺の分子・分母にVsをかけると・・・

       ΔV=(Vr・T・cosθ・r+Vr・T・sinθ・x)/Vr
         =(P・r+Q・x)/Vr

   となります。(Vr・T・cosθをP、Vr・T・sinθをQとしています。)最後に、Vrを1【PU】とすると

       ΔV=(P・r+Q・x)【PU】

   また、負荷のPを一定であるとし、線路の抵抗rは不変であり電力系統の無効電力QをΔQだけ変化させた時

       ΔV=ΔQ・x【PU】

   と表す事ができます。

   では、この式を使って実際に計算してみましょう。

      ◇分路リアクトルの電圧調整効果について

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