【エネルギー管理士】(課目Ⅳ)選択問題の選び方

エネルギー管理士

 エネルギー管理士試験の熱分野および電気分野のいずれの課目Ⅳについても選択問題があり、この選び方は重要となります。この考察についてまとめます。

選択問題の扱いについて

選択問題の向き合い方は次の2パターンあると考えています。

  • 避けて通れる逃げ道が与えられている。
  • 通れない道があってもいいように複数ルートが与えられている。

意味分からない例えかもしれないのですが、この記事はどちらかというと1つ目の「避けて通れる逃げ道が与えられる」の視点で書いた内容となっています。

2つの言葉の解釈を書いてみます。

避けて通れる逃げ道が与えられている。
苦手分野はよく分からない。勉強する時間もない。なので初めから歩く道を決めておく。なので歩かない道の準備はしない。

通れない道があってもいいように複数ルートが与えられている。
4分野とも勉強しておく。こうすることで、試験本番に解けない問題(通れない道)があったとしてもすぐに切り返して別の問題を解く。つまり、全分野準備しておく。

2つ目が理想です。

全分野を準備しておけば4つとも解ける状態となります。こうすることで、試験本番に捻った問題がだされたり難易度の高い問題が出た時にも問題なく対処できる。これは当たり前ですが、人によって苦手分野があるし、そこまで勉強できないことが多いので、選択問題の中で『敢えて通る道をあらかじめ決めておくとしたら』の視点で書いています。

はじめから決め打ちで2分野を勉強する(2分野を捨てる)ことをお勧めするものではありません(笑)

 管理人は、『電力応用』課目に苦戦し、3回目の受験で合格できました。苦手分野ばかり集めた課目だったので、勉強すること自体がいやでなかなか取り組むことができませんでした。が、きちんと対策(試験勉強)することで楽勝で合格できるくらいのレベルになれました。

電気分野 課目Ⅳ【電力応用】選択問題

 電気分野の課目Ⅳ(電力応用)では、

・電気加熱
・電気化学
・照明
・空気調和

の4問題から2問題を選択し解答することになります。

 選択すべき問題は「人による」のだと思いますがこう言ってしまっては何もなりませんので自分なりの考えを書いてみます。

管理人のおすすめは「電気加熱」「照明」です。

(管理人が選択した理由)

 まず。

「空気調和」は電験の範囲外です。

電験からの流れで勉強している人は、仕事で空調設計等に携わっている人以外は初めて出会う内容になります。とっつきにくいので除外してよいと思います。

「照明」「電気化学」「電気加熱」は電験の出題範囲なので、電験からの流れがある人は取り組みやすい。見たことのある内容が多い。

この3分野からはある意味お好みで選んでいただいてよいと思います。

(個人的理由ですが)私は学生時代から化学はとても苦手で化学反応式は全然頭に入らない性分なので電気化学は除外しました。理解できないので解法を覚えてはめて解く問題なら対応可能だけど、ひねった問題は対応できないからです。

消去法になりますが、私は、これらの理由で「電気加熱」「照明」にしました。

【電気加熱と照明の考察】
照明や電気加熱の計算問題が大体パターン化されているので、計算の手法を覚えてしまえば大体解けるようになります。

「電気加熱」の計算問題は物理現象としては同じ原理なので、電気計算と親和性が高いです。「電気と計算の考え方が同じなので、電気屋さんは入っていきやすいです。温度は電位、温度差は電位差(電圧)、通過する熱流は電流になり、熱抵抗はそのまま抵抗です。従ってオームの法則と同じ考え方で、「温度差を熱抵抗で割ると熱流」というあたりが分かります。(最近こうした計算は出ていませんが)

もう1点、エネルギーの単位変換が大切になってきます。
「1W・s=1J 」「1Wh=3,600J」熱エネルギーと電気エネルギーの変換を使った計算が大切です。ここは変換さえ慣れればできれば問題ありません。

電気と親和性が高いというのは、下の問題を見ても感じると思います。電気計算に慣れていれば見慣れた単位や言葉が出てくるので、問題文に入っていきやすい内容です。

引用元:令和3年度エネルギー管理士試験(課目Ⅳ)
引用元:令和元年度エネルギー管理士試験(課目Ⅳ)

照明計算は電験と同じ印象ですが、計算問題は5つくらいの公式を覚えて計算の練習をすることで公式の使い方をそのうち慣れてきます。丸暗記ではなくて、使い方を覚えていく感じです。似た言葉が多い(光束・光度・輝度・照度)ので、何が何か単位と言葉を覚えるのが少し大変かもしれませんが、計算問題は確実な得点源になります。電験3種でも同じことが言えます。

以上の2つの問題の計算が大体できれば得点を稼ぐことができます。知識問題(穴埋め)は過去問の繰り返しで定着作業すれば十分だと思います。

どうでもいい話ですが、私は受験1年目、2年目は試験本番でなぜか空気調和を選択しました(論述問題で解きやすそうに感じた)。が、勉強してないとまったく得点できません。文章の流れから”これっぽい”感じで選択したのはことごとく違いました。無勉強で感覚での対応は難しいです。

熱分野 課目Ⅳ【熱利用設備及びその管理】選択問題

熱分野については管理人は専門外で分からないのですが、「熱管理士」に合格されたQPさんより頂いた情報を掲載しています。情報を頂きありがとうございます。

【お願い】
熱分野の考察やアドバイスがあればコメント等いただけると大変助かります。

電気分野の課目Ⅳ(電力応用)では、

 ・熱交換器・熱回収装置
 ・冷凍・空気調和設備
 ・工業炉・熱設備材料
 ・蒸留・蒸発・濃縮装置、乾燥装置、乾留・ガス化装置

の4問題から2問題を選択し解答することになります。

最初に心構えと私の選択した理由等です。
選択問題では、どれを選ぶかを早めに決めて学習に取り組むことが大切です。

私の場合は、ビル管理の仕事をしていましたので、「熱交換器・熱回収」「冷凍・空気調和」に迷わず決めました。
ボイラ、冷凍、ビル管の試験が合格していましたし、職場にそれぞれの装置があって、自分の目で見ることができたからです。

この考察を書くために、他の問題も見てみました。

一部新しい問題もありました が、5年分の過去問題の練習で対応できると思います。

では、Ⅳの選択課目の課目別考察にはいります。

<熱交換器・熱回収>
ほとんど、穴うめ問題です。
加熱装置、熱回収では、交換熱量(Q=UA⊿T)、対数平均温度差、並流熱 交換、向流熱交換、直交流熱交換、この熱交換の温度分布、汚れ係数 (Rf=δ/λ)、TQ線図(温度と熱量)、与熱線、受熱線等が出ていました。

熱交換器では、熱交換器の種類、円筒多管式熱交換器、ヒートパイプ式熱交換 器等が出ました。特に、円筒多管式熱交換器は、3種類(固定管板式、U字管式 、遊動頭式)の特徴と形式が図入りで出ました。また、温度効率(高温側温度効 率、低温側温度効率、最大温度差)とエネルギー効率、NTUも出題されていま す。

<冷凍・空気調和>
ほとんど、穴うめ問題です。
冷凍では、冷凍機、ヒートポンプ、成績係数(COP)、冷凍機の種類、デュ ーリング線図、吸収式冷凍機が出てきます。また、Ⅱで学習した冷凍サイクル p-h線図が出てきます。

空気調和では、空気線図の用い方(混合、加熱・冷凍、冷却・減湿、加湿)と が出てきます。これは空気調和の基本ですので、この課目を選択する方は、必ず 覚えてください。これを踏まえて、空気線図上での代表的な空調プロセスとして 冷房、暖房が詳しく出題されます。

空調方式の種類では、単一ダクト方式(変風量(VAV)方式)二重ダクト方 式、ファンコイルユニット(FCU)方式、閉回路式水熱源ヒートポンプ方式等 が出ました。搬送方式では、VAV方式とVWV方式がでます。

<工業炉、熱設備材料>
これも、穴うめ問題です。

工業炉では、工業炉の種類(高炉、熱風炉、転炉、アーク炉、キュポラ、加熱 炉、熱処理炉、窯業炉、焼成炉、改質炉、産業廃棄物焼却炉)と内容、燃焼炉、 電気炉、直接加熱方式、間接加熱方式、バッチ式、連続式、断続操業等が出ていました。

炉の省エネルギーでは、燃焼空気比の管理、放射・伝導損失、蓄熱損失の低減 (定常状態、蓄熱量、炉壁の軽量化等)、排熱の回収(燃料用空気の予熱、レキュペレータ(換熱式)、リジェネレイタ(蓄熱式)等)、炉の熱勘定、省エネル ギーの3段階が出題されていました。炉の熱勘定では、熱勘定表と熱勘定図が5 年間の内2回出題されています。

省エネルギーの3段階とは、第1段階は、燃料空気比、炉圧の制御で操業の管 理・改善による。第2段階とは、連続加熱炉の予熱帯延長、排熱回収設備の増強 、燃焼バーナーの蓄熱式への改造など設備の改善による。第3段階とは、生産工 程の抜本的改革を行うものである。

熱設備材料では、高密度耐火物、低密度耐火物、不定形耐火物、耐火断熱れん が、軽量キャスタブル、耐火モルタル、セラミックファイバ、熱伝導率、かさ密 度、保温材等が出題されています。炉壁構成で耐火断熱れんが、セラミックファ イバ壁の比較が出題されていました。

また、この工業炉では、H15年に「事業者の判断基準」から基準空気比(別 表第1(A))、基準炉壁外面温度(別表第2(A))、基準排熱回収率(別表 第3(A))が出題されていました。これは、〔省エネ法〕法令集(省エネルギ ーセンター発行)にだけ載っているのではないかと思います。前回、Ⅰに書いた オーム社の付録には掲載されていません。

<蒸留・蒸発・濃縮、乾燥、乾留、ガス化>
これも、穴うめ問題です。

蒸留では、ラウールの法則、理想気体、活量係数、共沸点がでます。蒸留等の 省エネルギーでは、分離順序の改良(高圧搭の冷却熱を定圧搭の再沸器に投入し て、熱源の有効利用を図る)順序を決める経験則が出ていました。

蒸発・濃縮では、加熱源では水蒸気が広く用いられ、安価なだけではなく、凝 縮の潜熱が大きく、圧力の制御によって温度を容易に制御できる等の利点がある ことが出題されていました。他には、溶質による沸点上昇(デューリング図)と 多重効用法、蒸気圧縮法が出題されていました。

乾燥では、湿量基準、乾量基準、、材料予熱期間、定率乾燥期間、減率乾燥期 間、湿球温度、自由水、限界含水率、乾燥速度、含水率、乾燥特性曲線、気流乾 燥器、回転乾燥器、流動層乾燥器、凍結乾燥器、高周波(マイクロ波)乾燥器等 が出題されています。

乾留では、石炭乾留、コークス炉の熱管理が、ガス化では、熱分解、水素化分 解、水性ガス反応、水蒸気改質反応、部分燃焼が出題されています。

以上で、Ⅳの選択課目の課目別考察を終了します。

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