【第2種電気工事士】接地側(白)と非接地側(黒)電源線とは?

第2種電気工事士

 電気工事士試験で超大切な「接地側」と「非接地側」について解説します。

接地側電線とは対地電圧「0v」で理論上、触っても感電しない安全な電源線になります。電気回路的には、接地側電線と非接地側電線を負荷に繋げば通電するので、どっちをどっちに繋いでもつながりますが、

安全上とても大切なこと

なので、施工上とても重要な扱いとなり、試験で間違えると即不合格になるものです。意味が分かっていれば間違えないと思いますのでぜひ理解してください。

接地側と非接地側とは

単相3線式回路において

接地側:電気回路を接地してある(安全)
非接地側:電気回路を接地していない

配線のことになります。

単相3線式回路においては、次の絵のように配電線で送電されてきた6600vを電柱の上の変圧器(柱上変圧器)で100v,200vに降圧します。降圧された電源線は3本の線で住居等に配電されます。

3本のうち、1本が接地されており、この接地された線を「接地側」の電源線と呼んでいます。

「接地された」が分かりづらいと思いますが、本当に地面につなげていて「アース」している状態のことをいいます。アースすることで対地電圧が「0v」の電線のため

理論上感電しない線=安全な線

という扱いになります。

「接地」=安全の意味が分かりづらいと思いますが、対地電圧0vで安全と言えます。電路を触って「感電」する場合は、大抵どちらかの線だけに触れて自分を伝って地面に電流が流れる(自分が地面に立っているので)状態になります。電気は水と同じで高い方から低い方へ流れますが、接地側電線は地面と同じ電位、自分も地面と同じ電位なので、電位差0v(=対地電位0v)で感電しないことになります。

電気は閉回路ができないと流れないので、1本だけ触れても感電しません。1本だけ触れるというのは「空中に浮いている」時にしかなりません。地面に立っている=何オームかの抵抗を持って地面と電気的につながっていると見做すことができるので、電線1本だけ触れたつもりでも、「地面に立って電線1本触れる」=「電線と地面を触れた状態」となり、電線と地面の閉回路ができるので、非接地側電線を触れると感電します。

しつこいですがもう一回書きます。

接地してある側の線は地面と同じ電位、自分も地面と同じ電位だから大丈夫。

ちなみに、線を2本触ると感電します。

接地側電線と非接地側電線の電圧を測ってみると。

本当に地面との間に電圧がでないのか?という疑問が沸くと思います。簡単に測定ができるので測ってみます。

(測定回路の説明)

我が家の接地極付きコンセントで測定してみます。接地極も地面なので地面との間の電圧を測定することができます。なお、電気工事では、コンセントの長い方に接地側をつなぐように決まりがありますので、我が家もそのように施工されているハズです。

測定回路

まずは、電源線2本(黒と白)の間の電圧を測ってみます。上で書いた「2本触ると感電します」の理路です。当然100vがあります。

電源線2本の間の電圧

非接地側電線と地面(アース端子)を測定します。やっぱり100v出ます。

非接地側電線の対地電圧

本題の「接地側電線」と地面(アース端子)を測定するとちゃんと「0v」になります。

接地側電線の対地電圧

白線は対地間電圧が0vだから触っても大丈夫です。白線と黒線を両方触ると100vあるので感電します。ですが、停電していない線は接地側であっても非接地側であっても触らないようにしましょう。電気工事士の試験は本物と同じ施工をする必要があるので安全になる設備となることが求められています。

施工上の注意=ぜったい守ること

「接地側」電源線と「非接地側」電源線をきちんと分けて屋内配線しておくこと

このことを守ることで安全な電気回路を構成することができます。
ごちゃまぜにしてつなげてはいけません。

・黒い線はスイッチにつなぎ
・白い線は負荷に繋ぎます。

負荷はスイッチが切れているときは安全な状態にすることができます。

下図をよく見ると分かりますが、負荷(電灯)はスイッチを切っている状態では接地側電線につながっている状態で基本的には安全(0v電位)になっています。

電気工事士試験の施工条件には次の記述があります。

電線の色別(絶縁被覆の色)は,次によること。
①電源からの接地側電線には,すべて白色を使用する。
②電源から点滅器までの非接地側電線には,すべて黒色を使用する。
③次の器具の端子には,白色の電線を結線する。
 ・ランプレセプタクルの受金ねじ部の端子
 ・引掛シーリングローゼットの接地側極端子(接地側と表示)

白と黒を間違えると一発アウトです。

「ランプレセプタクルの受金ねじ部の端子」を白にする理由=露出部が多いところを接地側にしなさいよ、という意味です。これはレセプタクルの施工注意の動画を作っているのでこちらで見てみてください。(1:53の辺りから電線接続です)

単相3線式回路(&変圧器V結線)の回路図

イメージ図ばかりのため、回路図も記載します。

電源側は第1種電気工事士の範囲のため詳しくは書きませんが、低圧側配線の元がどうなっているのか知っておくことは重要です。

6600V/200Vの変圧器の2次側巻線から中性線を引き出して、200Vおよび100Vを取り出せるようにした配電方式。

単相3線式配電方式は2次側配線3本(u、v、o)のうち中性線を接地します。
中性線を接地する事によって中性線が大地と同じ電位になるため、「0V」となります。この中性線は電気工事では白線が用いられます。これにより、電気工事の時に白線は接地側電線で、非電源線と呼ぶ理由が分かると思います。なので、単相3線式配電方式は中性線を接地します。

出題された問題で確認

・令和5年度第二種電気工事士下期技能試験No.9の出題で確認します。

複線図を示します。白線を繋ぐべき場所が模範解答に示されています。負荷には白線、スイッチには黒線がつながれ、負荷に黒線は直接繋ぎません。レセプタクルにはしっかりと「受金ねじ部の端子に白」の記載もあります。

(参考)接地極付きコンセントの施工

 最近は全然出題されていませんが、上の電圧測定の項で紹介したような接地端子(この記事は接地極)付きコンセントの接地工事について紹介します。10年以上前に作った記事で古いですが、参考に残します。

 近年の試験では、接地極付き(接地端子付き)コンセントのアース線はブロック端子に繋ぐか何にもつながない(施工省略)となっているようです。

施工条件

 接地極付きコンセント回路は、平成11年度の3極コンセント回路と平成13年度の埋込連用コンセント回路の2回出題されています。ここでは、通常の埋込連用コンセントを例に挙げて説明しますが、3極の動力用コンセントも接地線の扱いは同様です。

上記のような施工条件で作業するとします。施工条件の表現の意味は、アウトレットボックスが接地されているので、コンセントのアース線はアウトレットボックスへ接続すればよいという意味です。

使用する器具

使用する器具は上記の通りです。接地極付きコンセントとは、その名の通り接地極が付いていて裏側にアース線をつなぐ穴が開いています。アースマークが付いている穴にアース線を差込みます。また、そのアース線を接続するのはアウトレットボックスです。接続は上の赤丸の所へねじで留めます。

施工例

以下に実際の施工例を示します。(接地極付コンセントからアウトレットボックスまではVVF-2C(黒白)とIV線(緑)とします。)

<施工例1(上図)>
アウトレットボックス内へコンセントからのアース線を入線するが、ボックス内への入線を絶縁ブッシングから通す。アウトレットボックス内へ入線したアース線は、先端でわっかを作ってアース線取り付け用ねじ穴へねじ留めする。

<施工例2(下図)>
アウトレットボックス内へコンセントからのアース線を入線するが、ボックス内への入線をアウトレットボックス下部の穴から通す。
アウトレットボックス内へ入線したアース線は、先端でわっかを作ってアース線取り付け用ねじ穴へねじ留めする。(先にねじ留めしてボックスの外へ引き出した方がやりやすい)

ちなみに、接地極付コンセントからアウトレットボックスまでの配線がVVF-3C(黒白緑)だったら次のようになります。

電線がVVF3C(黒白緑)の場合の施工例

この回路は、コンセントからアウトレットボックスまでが、VVF-3C(黒白緑)の場合の施工例です。この黒白緑のVVFは平成13年度に出題されています。
施工方法としては、普通にコンセントからの3芯ケーブルを絶縁ブッシングを通してアウトレットボックス内部へ入線して、緑線をアース用のねじに留めるという至って単純な回路です。
これは悩む必要もなく簡単です。

欠陥の施工例

欠陥例です。

アース線取り付け点の相違です。 アース線は必ずアウトレットボックスの底部にねじ留めします。写真の位置へ取り付けると、「B欠陥(施工上の重大な欠陥)」となり減点対象となるはずです。
どちらも(正しい場所も違う場所も)ねじ穴のサイズが同じなのでねじがぴったりはまってしまいます。注意しましょう。

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