複素数でVIが与えられたときの電力について
- あしべ
2008/05/27 (Tue) 16:01:10
いつもありがとうございます。
最近掲示板が荒らされていて残念です。
電験3種の予想問題を解いているのですが、次のような問題がありました。
ある回路に交流電圧 E=120-j60 電流I=30-j20が流れた。この回路の有効電力と無効電力を求めよ。
解法を見ると、皮相電力はEとIの共役複素数の積であらわされると説明がありました。
これはなぜでしょうか?
どなたかベクトルを使って教えていただきたいのですが、よろしくお願いします。
Re: 複素数でVIが与えられたときの電力について
- ∞
2008/05/28 (Wed) 08:18:53
掲示板にまともな内容がすくなくなってきましたね。
さて、電圧の実効値をE、初期位相をφ、
電流の実効値をI、初期位相を電源よりさらにθ遅れていてφ-θとすると、
複素数表示では、
電圧:Ee^jφ
電流:Ie^j(φ-θ)
と表示できます。
この場合、
有効電力=EIcosθ
無効電力=EIsinθ
皮相電力=EI
という元々の定義を念頭において、
電圧の複素数表示と電流の複素数表示の共役複素数表示との積を複素電力Pcと定義して計算すると、
Pc=EIe^[jφ-(j(φ-θ)]=EIcosθ+jEIsinθ
となり、
ちょうど実数部が有効電力、虚数部が無効電力、かつ絶対値が皮相電力となって好都合です。
だからその様に決めたという理解でいいのではと思います。
Re: 複素数でVIが与えられたときの電力について
- あしべ
2008/05/28 (Wed) 11:56:49
∞さん
回答ありがとうございます。
せっかく回答していただいたのですが、私には難しい内容でした。
もう少ししつこく聞かせてください。
なぜ、皮相電力は、Eと、「Iの『共役』複素数」の積なのでしょうか?
『共役』の部分にひっかかっています。
よろしくお願いします。
Re: 複素数でVIが与えられたときの電力について
- ∞
2008/05/28 (Wed) 13:46:18
まず皮相電力に誤解があるようですが、皮相電力は、先に示したように、電圧の実効値E(実数)と電流の実効値I(実数)の積(EI)です。
電圧の複素数表示と、電流の複素数表示の『共役』複素数の積は、皮相電力ではなく複素電力(または、ベクトル電力)といいます。
さて、「なぜ、『共役』複素数との積なのでしょうか?」とありますが、
『共役』でなく、単に積を計算すると、
EIe^[jφ+(j(φ-θ)]=EIcos(2φ+θ)+jEIsin(2φ+θ)
となって、有効電力や無効電力がどこにも表されずこの計算の意味がないからです。
Re: 複素数でVIが与えられたときの電力について
- Y-Delta
2008/05/28 (Wed) 13:46:42
横から口を挟むことをお許し下さい。
電力=電圧×電流と考えE(・)×I(・)を計算すると
E(・)I(・)=EIcos(φ+θ)+jEI(φ+θ)となり電力を表す式とはならない。角度を表す部分が(φ−θ)であれば電力を表す式になる。
そこで共役複素数が登場するのです。
電力=E(−)×I(・)=EIcos(φ−θ)-jEIsin(φ−θ)
電力=E(・)×I(−)=EIcos(φ−θ)+jEIsin(φ−θ)
無効電力の部分が遅れを+とするのか−とするのかの違いなのです。世の中ではどちらが一般的?なのか。文献の著者により様々。試験等では出題するにあたり最初からは定義として遅れを+とするとか−とすると記述されていると思う。私は日頃遅れを+としていますが皆さんは如何でしょうか?
参考までに
文献1
電力工学の分野では誘導性負荷を扱う場合が多く、誘導性の場合に無効電力(複素電力の虚部)が正となるように選んだ。
文献2
ベクトルでは遅れは−、進みは+で表すのでE(−)i(・)で電力ベクトルを計算するのが一般的である。
本当はどっちが一般的なのだろう?
Re: 複素数でVIが与えられたときの電力について
- あしべ
2008/05/28 (Wed) 14:17:23
∞さん Y-Deltaさん
回答ありがとうございます。
しかし、今にも闇に迷い込んでしまいそうです。
自分の基礎力のなさを実感しています。
∞さんの回答を見ていると、「電圧と電流の位相差を知りたいから共役複素数を掛けているのかな?」と思いました。
が、Y-Deltaさんの回答を見ていると、EIcos(φ+θ)+jEI(φ+θ)だと電力にならないけどEIcos(φ−θ)±jEIsin(φ−θ)
だと電力になるとあります。
申し訳ありませんがちんぷんかんぷんです...
だんだん質問内容が基礎に戻って行って恐縮ですが、なぜ角度の部分が(φ−θ)だと電力になるのか、もう少しお付き合いくださいませんか?
Re: 複素数でVIが与えられたときの電力について
- ∞
2008/05/28 (Wed) 15:18:33
私の場合、
電圧の実効値をE、初期位相をφ、
電流の実効値をI、初期位相を電源よりさらにθ遅れていてφ-θとしていますので、
最初の記事のように、有効電力=EIcosθ となります。
Y-Deltaさんの場合は、それぞれの初期位相を、φ、θとしていますので、有効電力=EIcos(φ-θ) となります。
いずれにせよ、電圧の実効値と電流の実効値と、それらの位相差のコサイン(cos)をとったものの積が有効電力となります。
これは、そういう定義だと現段階では割り切って理解したほうがいいいと思います。
--------------------------------
どうしても根拠を知りたいなら、以下の有効電力の算出例を参考にしてください。
私の定義の場合、
電圧の瞬時値=√2Esin(ωt+φ)
電流の瞬時値=√2Isin(ωt+φ-θ)
となります。ここでωは角周波数、tは時刻。
そうすると、電力はその積だから
電力の瞬時値
=2EIsin(ωt+φ)sin(ωt+φ-θ)
=EIcosθ-EIcos(2ωt+2φ-θ)
となります。
ここで、上式の第2項の時間平均は0となるので、平均の電力は、第1項のEIcosθ となります。
だから、有効電力=EIcosθ となるわけです。
Re: 複素数でVIが与えられたときの電力について
- 猫
2008/05/28 (Wed) 22:00:39
横レス失礼します。
Y-Deltaさんの説明の補足でベクトルを添付します。
なお、電力ベクトル計算は「三種の難問、二種の常識」です。
三種受験ならまだ覚える必要はないと思います。
私は三種受験前、過去問の解説で目にしたことはありましたが、他の解き方があったし、覚えようとは思いませんでした。
難しいと感じるなら、別の知識を増やすよう努力してください。
前に進んでいれば、いつか分かる問題となります。
Re: 複素数でVIが与えられたときの電力について
- 鹿の骨
2008/05/28 (Wed) 22:24:59
横レスします。
1/2
Re: 複素数でVIが与えられたときの電力について
- 鹿の骨
2008/05/28 (Wed) 22:26:57
2/2
尚、共役ベクトルを電圧の共役にするか電流の共役にするかは色々ですが、最初は電圧の共役で覚えると良いと思います。
Re: 複素数でVIが与えられたときの電力について
- 鹿の骨
2008/05/29 (Thu) 00:29:56
追加です。
Re: 複素数でVIが与えられたときの電力について
- あしべ
2008/05/29 (Thu) 15:22:44
∞さん 猫さん 鹿の骨さん
皆さん親切な説明ありがとうございます。
正確な理解ではないかもしれませんが、なんとなく納得できるようになりました。
教えていただいた内容は大事に保存して、もう少ししたらまた見直してみます。
今回もありがとうございました。
Re: 複素数でVIが与えられたときの電力について
- おでんくん
2008/05/31 (Sat) 07:13:57
>>あしべさん
よければ設問の有効電力と無効電力の解答を載せていただけませんか?
Re: 複素数でVIが与えられたときの電力について
- 通りすがりですが
2008/05/31 (Sat) 12:48:33
有効 4800
無効 600
で合っていますか?
Re: 複素数でVIが与えられたときの電力について
- 鹿の骨
2008/05/31 (Sat) 14:07:19
皮相電力をS(ドット)とし、E(ドット)の共役をE(バー)とすると下記の式になります。
S(ドット)=E(バー)・I(ドット)
=(120-j60)の共役・(30-j20)
=(120+j60)・(30-j20)
=3600-j2400+j1800+1200
=4800-j600
∴
有効電力=4800[W]
無効電力=600[var]遅れ
Re: 複素数でVIが与えられたときの電力について
- おでんくん
2008/06/01 (Sun) 06:39:18
ありがとうございました。